根来塗

日本一のうるしバカを目指す男、うるしエバンジェリストの渡邊嘉久です。

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根来塗(ねごろぬり)という塗物があります。

根来塗は中世の初めの頃、紀州の根来寺で、自家用のため、仏壇、仏具、膳・椀・鉢・皿・家具等を作ったのが始まりといわれています。

この時代は、器類は今のように陶磁器ではなく漆器が主でした。

この根来寺で自給されていた漆器類が評判となり根来塗というブランドになったのです。

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根来塗は、木地の上に下地を施し、その上に黒漆を何回か塗り重ねて最後に朱漆を塗立てたものです。塗立てというのは、漆を刷毛で塗ったままの状態で仕上げることで、研いで磨き上げる呂色仕上げとは違います。

ほとんどの根来塗の朱漆は最後に1回だけ塗られていました。

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当時、朱の顔料はひじょうに貴重で贅沢なものとされ、寺院や僧侶以外には朱塗りの器は一般家庭では禁じられていたそうです。

 

根来塗は、何十年と使っているうちに、だんだんと朱漆の層がすり減って、下から黒い漆の層が露出してきます。

この朱がすり減って黒漆が出てくる具合が、風情があり味のあるいい感じだと評判になりました。

 

気のない人には漆がすり減ってしまった古い漆器にしか映らないかもしれませんが、骨董の世界ではたいへん貴重な値打ちのあるものと評価されます。

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根来塗は、あくまで根来寺で作られたものが根来塗です。

朱漆がすり減っていなくても根来寺で作られたものは根来塗というわけです。

 

古い根来塗が人気あるからといって、黒漆の上に朱漆を塗ってわざと朱漆を所々研ぎ落して、おまけに呂色仕上げにして根来塗という輩もいますが、それはあくまでも根来風です。

 

 

 

 

 

 

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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根来塗” に対して2件のコメントがあります。

  1. 岡本千春 より:

    初めまして。
    キッチンの天板を根来塗りでできないかと考えています。

    そういった相談もさせてもらうことはできるのでしょうか。

    1. 渡邊 嘉久 より:

      コメントありがとうございます。
      返信が大変遅くなり誠に申し訳有りません。
      キッチンの天板を根来塗りとのことですが、新しいキッチンカウンターでしょうか?
      新しいものなら可能です。
      板がすでにオイル加工などされているものはできない可能性が高いです。
      何なりとご相談ください。

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