うるしってかぶれるんでしょ?

日本一のうるしバカを目指している漆塗り職人のなべです。

漆と聞くと漆かぶれをイメージすることが多いと思います。
たしかに漆には誰もがかぶれます。
人によってかぶれの程度はかなり差があるようです。
私は、毎日のように漆を扱っているので、手はいつも漆で汚れています。
初対面の人なんかは、汚れた手を見て「漆にかぶれないんですか?」とよく聞かれます。

私の場合は、皮膚が弱い部分に直接漆がついた場合、その部分が赤くなったりちょっとかゆくなる程度で済みますが、全くかぶれないという事はありません。
代々漆の仕事をしている家に生まれたからなのか、ひどい漆かぶれになった事はありません。
以前、岩手県に漆掻きの研修に行った時も、この道50年60年という熟練漆掻きの職人さんでも少しはかぶれていました。
かぶれやすい漆や時期的な問題もありますが、誰もが漆にはかぶれるようです。
夏場は、肌の露出が多いからなのかかぶれる事が多いような気がします。

漆に免疫がない人の場合は、体の一部に少し漆がついただけで全身がかゆくなったり赤くはれたりする事があります。
まったく漆に縁のなかった人が漆の仕事を始めたりする時は、初めの頃は大変なめにあうようですね。
しかし、だんだんと漆に慣れてくるとかぶれにくくなってきます。

過敏な人は、直接漆が皮膚についたりする事がなくても、漆塗りの仕事をしている側に近づいたり、表面的には乾いてるように見えても漆を塗ってからあまり時間の経っていない漆器などを使用するだけで漆にかぶれる事があるようです。
新しく漆器を購入した場合、その漆器が作られてからどれくらいの時間が経っているかわかりませんが、漆の匂いが匂ってくるような場合は漆の匂いがしなくなるまで使用を控えるのが無難かもしれません。

漆かぶれは漆に含まれるウルシオールという成分がかぶれの原因になります
実はあの美味しいマンゴーも漆科の植物になり、マンゴーにもウルシオールが含まれているため、マンゴーでかぶれる人もあるようです。

漆にかぶれると言う事で、ちょっとイメージの悪い漆ですが、完全に硬化した漆はかぶれる心配はありません。
心配せずにどんどん漆器を使ってくださいね。

追伸 ほとんど漆にかぶれる事のない私ですが、3〜4年前はそれまでに増してかぶれてかゆくなる事がありました。ちょっと免疫力が落ちてきたのかなと思っていたら、大きなガンがありました。おかげさまで手術で全部取れたので、いまは健康にしています。
このブログをお読みの漆関係の方、漆にかぶれやすくなったと思ったら体の免疫力が落ちているのかもしれません、ご注意あれ。

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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