お店での写真撮影について思うこと

日本一のうるしバカを目指す男、うるしエバンジェリストの渡邊嘉久です。

 

ギャラリーの店番をしていると、たまにお客さんから店内の写真撮っていいですか?と聞かれることがあります。

たいていの場合「どうぞ撮ってください」とお答えします。

旅の思い出として記録されたり、SNSに投稿されるために写真を撮られることが殆どだからです。

実際、店側にとっても店の雰囲気が伝わるような写真をSNSに投稿していただくのはありがたいことです。

 

でも、ごく稀に撮影をお断りすることがあります。

作品の模倣をするために写真を撮るというケースです。

同じジャンルのものづくりをされている方が、気に入った作品を参考にするために写真を撮っていかれるのです。

以前あった話ですが、初老の男性が一人でギャラリーに来られ、作品と一つ一つ丁寧に見た後に、写真撮ってもいいですかと聞かれたので許諾したところ、一つの作品をいろんな角度からアップで撮影。器を裏向けて高台なんかも丁寧に撮影。

みかねて、写真撮ってどうするんですかと尋ねると、趣味で陶芸をやっているので、この気に入った作品を参考にしたいとのこと。

そういう理由の撮影は遠慮願いたいと申し出て、写真撮影は中止してもらうことに。

 

誰かの作品を、敬意を持って模倣してみるということを僕は否定しません。

(ただ、それを自分のデザインと言って公表することは問題があると思います)

模倣するにもマナーがあると思います。

ほんとうにその作品が気に入って模倣したいのであれば、購入して日々手に取り使うことによって、写真ではわからない作品の良さや作家が工夫している点などがわかってくるのではないかと思います。

 

ちなみに、アマチュアやセミプロの方ほど写真を撮ってコピーしようとする傾向があるように思います。

プロとして作品作りをやっておられる方は、誰かの作品をオマージュする場合は実際にその作品を購入されるか、それが無理な場合は図録などを購入されるようです。

プロの方ほど、作品作りの大変さがわかっておられるからなんだと思います。

その作家さん、その作品をリスペクトするんなら、ただで写真だけ撮ってそれを模倣するなんてことは恥ずべきことなんでしょうね。

 

作品を模倣しなくても、実際に日々使ってみることは写真ではわからない何かが伝わってきます。

 

話がちょっとそれてしまいましたが、ギャラリー内で写真を撮っていただくのは大歓迎です。できたらSNSに投稿してね。

 

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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