塗立てと呂色という漆塗りの技法

塗立てと呂色

漆塗りの仕上げ方には、塗立てという仕上げ方と呂色という仕上げ方があります。

塗立てとは、漆を刷毛で塗って仕上げる技法。

呂色とは、漆を刷毛で塗って乾かした後、駿河炭と呼ばれる木炭で研磨しどうずり、上ずり、磨きという工程をへて仕上げる技法。

呂色は炭で研磨することにより、漆を刷毛で塗った際の刷毛目もなくなりフラットな面が作られ、磨きを重ねることにより鏡面仕上げになります。

手間がかかることと、歪みのない鏡面仕上げになることから、一般的には呂色仕上げの方が高級な仕上げ方といわれています。

塗立ては刷毛で塗るだけで手間は少ないが、節(ふし)と呼ばれる表面のツブツブがなく、刷毛目を極力少なくして塗るのは至難の技が必要とされます。

呂色は時間をかけて丁寧な仕事をすればそこそこのレベルの仕上がりになります。

塗立ての場合は、節ができないようにするため、塗り部屋の掃除やホコリのでない服装などに気を使い、漆を塗った器物にホコリがつかないようにします。

漆を塗る際に使う刷毛からもゴミが出ることがあるので、普段から刷毛の手入れには念を入れます。

塗立てと呂色。

どっちが難しいかと問われれば、僕は塗立てと答えます。

ただ、工賃を高く請求できるのは呂色なんです。

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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