いやしのうるし玉『Naderu』誕生秘話

スーパー生木ラボの鈴木孝平さんが作る『木のたまご』を見たとき、「このたまごに漆を塗り、呂色仕上げにしてピカピカに磨き上げたら、面白いんちゃうかな⁉️」と思ったのが、『いやしのうるし玉 Naderu』誕生のきっかけだった。

 鈴木さんから『木のたまご』を一つ譲っていただき、漆を塗り重ねた。漆を塗っては研ぎ、また塗っては研ぐという作業を10回ほど繰り返し、仕上げに駿河炭で研いだ後、擦り漆と磨きの工程を何度か重ねた。すると、自分の顔が映るほどの鏡面仕上げになった。思わず「これは面白いものができた!」と自画自賛。何人かに見せても「なにこれ⁉️ 面白いやん!」と好評だった。

 漆塗りの製品は多いが、こんなものは今までに見たことがない。面白いものが出来上がったものの、どうやって世に出していこうかと考えていたところ、商工会議所から東京ギフトショー出展の話をいただいた。

 「よし、このうるし玉を東京ギフトショーで世に出そう‼」と決意し、鈴木さんに追加で木地をお願いするとともに、以前からお椀の木地を挽いてもらっている木地師にも製作を依頼した。

 大小さまざまなサイズ、たまご型やまん丸の球体など、さまざまな形の木地が揃った。それらに漆を塗り重ね、磨きに磨きを重ねて、いくつものうるし玉が完成した。

 漆塗りの技法の一つである呂色仕上げは、ひたすら研ぎ、ひたすら磨く作業の繰り返し。黙々と研いで磨き続け、最後は手のひらで磨き上げて鏡面の艶を出す。単調な作業のため、苦痛に感じることもあったが、やがて無の境地に至ることに気づいた。禅の修行に似たものがあるのかもしれない。

 このうるし玉を手のひらで撫でるように磨いていると、不思議と心が落ち着く。そんな癒しの感覚から、「Naderu(なでる)」という名前をつけた。

 漆の魅力である、ぬくもりのある優しく柔らかな触感、そして吸い込まれるような深い艶——ぜひ、手に取って感じてほしい。 

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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