漆刷毛の切り出し

日本一のうるしバカを目指す男、うるしエバンジェリストの渡邊嘉久です。

 

大きな仕事が一段落し、ちょっと一息をかねて漆刷毛の切り出しを行いました。

以前ブログでも紹介したように漆刷毛は人毛でできています。

刷毛の先だけに人毛が付いているのではなく、鉛筆のように中まで毛が通っています。

全部通っているものを本通し、半分まで通っているものを半通しといいます。

刷毛先がちびってしまったり、うるしで固まってしまったりした場合は、刷毛の切り出しを行います。

鉛筆を削って新しい芯を出すようなものと思ってください。

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まず、刷毛先をのこぎりで切り落とします。

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次に、毛引きを使って新しく切り出す刷毛先の長さのところに印をつけます。

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その後、塗師屋包丁と呼ばれる刃物や小刀を使っては毛先部分の木の板を削り落とします。

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木の板を削り落とせたら、毛の部分を砲弾型に削ります。

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刃物で削った後、砥石で形を整え、形が整ったら刷毛の側面の木を削り落とします。

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毛先をほぐしていきます。

漆刷毛の中の毛は糊漆で固められているので、それをほぐしていくわけです。

熱いお湯につけては、金槌で叩く。これを何度も繰り返して刷毛先をほぐしていきます。

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昔作られた漆刷毛の中には、カチンカチンに固められたものがあり、ほぐすのに半日くらいかかってしまうこともあります。

最近の刷毛は比較的柔らかくできていますが、今回の刷毛では15分くらいかかりました。

ほぐした後は、毛先を洗剤で十分に洗いゴミを取り除きます。

これで一応、刷毛の切り出しは終わりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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