長浜漆プロジェクトの経緯 その4

浄法寺での漆掻き研修
浄法寺に滞在中にお世話になった
長期研修生に
漆苗生産者さんの家に連れて行ってもらった2日後
もう一度
漆苗生産者さんの家を訪ねた

滋賀県に送られた
漆の苗木の出荷先を教えてもらうためだ

20年くらい前に
滋賀県に漆の苗木を送った
という話を聞いて
出荷先を調べてもらうように
頼んでいたのだ

漆苗生産者さんは
20年ほど前の伝票を見ながら
出荷先を教えてくれた

教えてもらった出荷先は
滋賀県伊香郡余呉町中之郷生産森林組合

余呉町中之郷

長浜市も大合併して
余呉町も長浜市

1000kmも離れた
岩手県の浄法寺にきて
まさかの地元長浜市の地名を聞くとは
漆の苗木が20年前に長浜に出荷されてたなんて

ちょっとびっくりするとともに
なんだか嬉しくなってきた

長浜に帰ったら真っ先に
余呉町中之郷に出荷された
漆の苗木のことを調べよう

そんなことを考えながら
浄法寺での残りの研修期間を過ごした

研修期間の最後には
長期研修生の案内で
青森県田子町にある
漆掻き道具を作っている
鍛冶屋さんにも連れて行ってもらった

漆掻きには
専用の道具を使うが
日本で唯一その道具を
作っている鍛冶屋さんが
青森県の田子町にある

その鍛冶屋さんで
鍛冶作業を見学し
漆掻きの道具を一式購入

安くはなかったが
浄法寺で漆掻きの研修をした記念にもなるし
将来長浜で漆掻きができるようになったときに
役立つかもしれな

そんなこんなで
一週間の漆掻き研修が終わった

滞在中にお世話になった
浄法寺漆生産組合の組合長さん
漆苗生産者さん
二戸市役所浄法寺支所の担当の人
長期研修生のUさん
民宿のおばちゃん
には感謝しかない

長浜から浄法寺まで約1000km
往路は長浜を深夜に出発して
浄法寺に午後3時頃到着
眠くて眠くて頻繁に仮眠をとっていた

復路は眠気対策で
昼間帰ることにした

ところが
帰る日の前日夜に
右の背中の下の方に違和感
来た〜石が来た〜

僕は腎臓に石ができる体質で
腎臓にできた石が
尿路に降りると激痛が走る
尿路結石の既往症がある

浄法寺から帰る前夜に背中の違和感
激痛こそないが
この違和感は尿路結石に違いない

何度もなっているので
不安はなかったが
激痛がきたらヤバイな
という気持ちはあった

夜も普通に眠れたが
帰る日の朝
相変わらず
右の背中の下部には
違和感がある

とにかく水をがぶ飲みして
万が一我慢できない痛みに見舞われたら
途中でどこかの救急病院に駆け込もう

そう思って浄法寺を後にした


浄法寺を出発したのは午前7時
途中の休憩は
トイレと水を買うだけ
水をがぶ飲みしながら
車を走らせて
長浜に着いたのは
午後5時だった

車を走らせながら
考えていたのは
20年前に
浄法寺から余呉に出荷された
漆の苗木のこと

どんな姿に成長しているんだろうか
ワクワクしかなかった

2009年9月の中頃だった

その5に続く

The following two tabs change content below.
昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

最新記事 by 渡邊 嘉久 (全て見る)