長浜漆プロジェクトの経緯 その5

岩手県浄法寺での漆掻き研修を終えて
自宅に帰ってきた
2009年の9月の半ば過ぎだった

1990年頃に
浄法寺から余呉町に
漆の苗木が出荷されたという話を聞いてから
余呉に漆の林ができているという
妄想が止まらなかった

長浜に帰って
漆の苗木が出荷されたという
余呉町中之郷生産森林組合に
連絡を取ることができた

なんのツテもなかったので
どうしようかと考えたが

木之本の山間部出身の知人に相談したら
伊香郡森林組合に知り合いがいるから
聞いてあげようと言ってもらえた

伊香郡森林組合の方を通じて
中之郷生産森林組合の人を
紹介してもらうことができた

さっそく
中之郷生産森林組合の人に連絡し
会ってもらう約束をした

長浜市余呉町中之郷は
北陸自動車道の賤ヶ岳SAを
少し福井寄りに行った辺りだ

2009年の9月下旬
余呉町中之郷で
生産森林組合の人と会った

実は電話で連絡した際に
1990年頃に
漆の苗木を浄法寺から購入して
植栽したことは事実だが
うまく育たずに枯れてしまった
という話は聞いていた

枯れてしまったということだったが
一度植栽した現場を
見せてほしいとお願いしたのだった

ウディパル余呉の駐車場で待ち合わせた
まずは
自分が漆の仕事をしていることや
浄法寺で漆の苗木を出荷された話を聞いたことなどを話した

その後
漆の苗木を植えたという現場に
案内していただいた

ウディパル余呉の道を隔てた反対側にある山が
漆の苗木が植えられた山だった

案内していただいた場所に
漆の木らしいものはなかった

山から降りて
生産森林組合の人と話しているときに
思いもよらない話を聞いたのだ

昭和30年頃までは
余呉町内の至る所に
漆の木があり
漆掻きのシーズンになると
福井から職人が泊まり込みでやってきて
漆掻きをやっていた

という話だった

20年前に植栽された
漆の木は跡形もなかったが
昔は余呉の至る所に
漆の木があったのだ

失望していた気持ちがよみがえって
希望が湧いてきた

探せば
昔から残っている
漆の木があるかもしれない

聞くところによると
昔は
川べりや
田んぼの畦
畑の周り
山裾などに
漆の木があったらしい

昔 余呉に漆の木があったのなら
是非ともそれを復活させたい
そう思うようになった

余呉漆復活プロジェクトを
始めようと思った時だった

まずは
昔から残っている漆の木を探そう

その6に続く

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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