直す価値があるのか?

漆が塗られた古いものや、陶磁器の金継修理を依頼されることがよくあります。

まずは現物を拝見して、修理方法の提案と修理費用の見積もりをします。

その時によく依頼主が言われることが、「これは直す価値があるんでしょうか?」ということ。

高価なもので、新品を買うより修理代がかなり安くつく場合は修理すべきですという提案をします。

 

しかし、ものによったら新しいものを買ったほうが安い場合もあります。

そういう場合は、そのことを伝えるとともに、思い入れのあるものや大事にされていたものなら直されたらいかがですかという提案をします。

思い入れのあるものや大事にされてきたものは、お金では計れない価値があると思うからです。

 

正直な話なんですけど、修理することって面倒臭いことが多くて業者にとったら効率の悪い儲からない仕事のことが多いんです。

業者によっては、十分に直せるものであっても直す価値はないと言って新品の購入を勧めるところもあります。

直して使うか新品に買い換えるかは、依頼主の考え方次第だと思います。

直したいという気持ちが強い場合は、業者選びが大切です。

 

うるしバカの僕は、なるべく依頼主の方の気持ちを大切にしています。

 

 

The following two tabs change content below.
昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

最新記事 by 渡邊 嘉久 (全て見る)