日本産漆

日本産の漆って日本全体の漆の総需要量の2%くらいしかないんです。

ここ近年は、日本全体で1年間に使われる漆の量が50トンくらい。

景気悪いので、もう少し少ないかも。

その2%ということは日本産漆の量は約1トン。

残りの49トンは中国製です。

 

たったの1トンしかないのに、平成30年から文化財の漆の修復には日本産の漆を使うことが義務付けられるようになてきました。

 

まだ平成30年にはなっていないのですが、現在取り組んでいる仕事は日本産漆使用が仕様になっているので、日本産の漆を購入。

下地から中塗り、上塗りに至るまで全て日本産使用ととなっているので、まずは下地用生漆から。

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とりあえず1kgの桶を2つ。

 

下地から日本産を使うというのは、かなり贅沢な仕事です。

今までから何度か下地から日本産生漆を使う仕事をしてきましたが、それは超高級な仕事ばかり。

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ちなみに、この木の桶には荒味漆という木の皮やゴミなどが混ざった、木からとれた状態そのままの生漆が一貫目入っていました。

一貫目は約3.75kg。

非常に乾きの遅い漆だったのですが、自分で精製して少しずつ使っています。

 

日本産と中国産の漆はどう違うのか?

一番の違いは値段。

6倍から10倍くらいの値段の違いがあります。

 

もちろん、品質の違いもあります。

艶が違う、乾いた後の堅牢度が違うといわれています。

堅牢度が違うということはそれだけ長持ちするということにもつながるんですね。

そういうこともあり、文化財に日本産漆の使用が義務付けられるようになってきたんだと思います。

必ずしも、日本産の漆が高品質で中国産の漆が品質が悪いというわけではありません。

日本産のものでも品質の悪い漆もあるし、中国産でも非常に品質のいいものもあります。

念のため。

 

ただ心配なことも。

平成30年から文化財の仕事に日本産の漆の使用が義務付けられると需給が逼迫するのではないかということ。

需要が増えたからといって供給量が増やせないというのが、現在の日本産漆を取り巻く状況でもあるのです。

漆の木がない。

漆を採取する職人が少ない上に高齢化が進んで近い将来かなり減少する。

などの懸念事項があるのです。

 

最近ストップしてしまっている『余呉漆プロジェクト』も進めないと。

いつかは、地元で採れた漆で作品を作りたい。地元の文化財は地元の漆で修復したい。

これが僕の夢なんですけど、いつのことになるやら。

それまではくたばってられません。

 

 

 

 

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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