naderuとは何か
ここ最近、naderuの海外挑戦について書いてきた。
Kickstarterで世界に届けたい。アメリカの人たちに、この不思議な感覚を知ってもらいたい。そんな思いで動き始めている。
でも、ここで一度立ち返ってみたい。
そもそも、naderuとは何なのか。
naderuは、ただの木のたまごでも、ただの漆塗りのオブジェでもない。
始まりは、スーパー生木ラボの鈴木孝平さんが作る「木のたまご」との出会いだった。その滑らかな形を見た瞬間、直感が走った。
「これに漆を塗って、呂色に磨き上げたら、今までにないものが生まれるかもしれない」
そこから、何度も塗り、何度も研ぎ、何度も磨いた。仕上がったのは、吸い込まれるような深い艶を持つ、小さな漆の塊だった。

けれど、本当に面白かったのは、見た目ではなかった。
呂色仕上げの最後の工程は、手のひらで撫でるように磨き上げること。
その作業を続けていると、不思議と心が静かになっていく。ただ磨いているだけなのに、気持ちが整い、雑念が消えていく。禅の修行に似た感覚、とでも言えばいいか。
そして完成したものを手に取ってみると、使う人にも同じことが起こった。
ただ手のひらで転がす。ただ指先で撫でる。それだけで、なぜか心が落ち着く。
だから名前を naderu にした。

漆のぬくもり、やわらかな触感、奥行きのある艶。
日本の伝統工芸でありながら、忙しい現代人の心に寄り添う道具でもある。
naderu とは、**「触れることで心を整える、漆のメディテーションツール」**だと思っている。
海外へ挑戦する今、僕が届けたいのは”モノ”そのものではない。
手のひらの中に生まれる静けさ。撫でることで戻ってくる、自分自身の感覚。
その体験を、世界に届けたい。

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。
漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。
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