作品からプロダクトへ。naderuを整える日々

作品からプロダクトへ。今、naderuを整えている

最近、ずっと考えていることがある。
naderuをどうやって”世の中に届く形”にしていくか、ということ。

今まで作ってきたnaderuは、どちらかと言えば、その時その時の直感や、出会った木地との縁を大切にしながら生まれてきた。
だから、一つひとつ表情が違うし、その違いもまた面白さだった。

でも、Kickstarterで海外に届けようと思うと、それだけでは足りない。
面白い、きれい、気持ちいい——それはもちろん大事。
けれど、それを「欲しい」に変えるためには、もう一歩踏み込んだ設計が必要になる。

サイズはどうするのか。木地の種類はどう揃えるのか。漆の仕上げは木地呂にするのか、色漆にするのか、拭き漆にするのか。
価格帯はどこに置けば、手に取ってもらいやすいのか。

今までは、職人として「良いものを作る」ことに集中してきた。
しかし今は、それに加えて——どうすれば世の中の人に伝わるのか——を毎日考えている。
言ってみれば、作品を作る仕事から、プロダクトを育てる仕事へと少しずつ変わってきた。
この工程は難しいがめっちゃ面白い。

漆を塗ることなら何十年もやってきた。研ぎも磨きも、自分の身体に染み込んでいる。
でも、世界に向けてどう見せるか、どう選んでもらうかは、まったく別の筋肉を使う。

62歳にして、また新しいことを一から覚えている。
なかなか大変だ。でも、これが妙に面白い。

もう廃業かな…なんて考えていた頃には想像もしなかった。
この歳になって、また「なんか面白くなってきた」とワクワクしている自分がいる。

人生、ほんまにわからない。
漆も、使い込むほど艶が増していく。人間も同じかもしれない。

今はまさに、naderuを世界へ送り出すための下地づくりの真っ最中。
地味な作業だけど、この下地が後で効いてくる。
漆も人生も、見えない下地がいちばん大事だと思う。
さて、この設計がどう形になっていくのか。
自分でもすごく楽しみだ。

この下地づくりの先に、naderuの新しい兄弟分も見え始めている。

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。