初心忘るべからず

10月のはじめの土曜日長浜市で開催されたアートイン長浜を見に行ったときのこと。

漆の作品を並べているブースがあったので足を止めた。

作家名のところを見ると滋賀県と記されていた。

ちょっと興味があったので、作家さんに声をかけてみる。

キャリアは長くないが、自分で木地から作ってスプーンなどを作っているとのこと。

そのとき自分の名刺は持っていなかったが、自分も漆の仕事をしていること。真っ直ぐに400mほど行ったところに工房があることと屋号を伝えて、よかったら遊びに来てくださいと言ってその場を離れた。

先日その作家さんが突然訪ねてきてくれました。

工房を見てもらったり、漆の話や作品づくりのことなどを話していたらあっという間に時間が過ぎていきました。

その作家さんは漆とはまったく違う本業があるが、漆に興味があったので1年ほど前から作品づくりに取り組んでいるらしい。

木地も自分で作ってそれに漆を塗って作品を作っていることを彼は話していた。

知り合いを通じて漆の仕事をしている人を紹介してもらい、漆のことを教えてもらったりしたらしいが、大半は技法書を読みこんだりYouTube で技法を紹介している動画を何度も観て漆のことを学んでいるらしい。

1時間ちょっと喋っていたが、僕も漆の話をするのは好きなのであっという間に時間は過ぎていった。

なんか爽やか風が通り抜けていった感じでした。

ものづくりをする携わる者にとって大事ことを忘れているんじゃないかということに気づかせてくれました。

最近の自分はどうか?

飽くなき探究心をもって技法の研究をしているのか。

新たなものづくりに取り組んでいるのか。

日々の仕事の忙しさにかまけてチャレンジすることをすっかりサボっていました。

初心忘るべからず。

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昭和38年(1963年)滋賀県長浜市生まれ。 漆塗職人をやってます。お箸お椀から建造物の漆塗りまでオールラウンドにこなします。日本一の漆バカを目指し、日本初のうるしエバンジェリストとして漆の魅力を広く伝えていきます。

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